【哲仁王后 俺がクイーン!?】の感想。 異色作!登場人物がヒット理由?考察と評価

「哲仁王后 俺がクイーン!?」のタイトルで私はかなり敬遠していた。

題名の響きも変だし、「男性が王后の体にはいっちゃう??」なんて、見たくないと思っていた

【哲仁王后】正直感想~実在は?時代劇ファンからみる評価

でも、何故かヒット作品。その理由を知りたくつべこべ言わず見ることに・・

・・・驚いた。内容から、設定から、役者から・・

結果、「観てよかった!」

その感想とお伝えいたします。 

「哲仁王后・あらすじ」~ネタバレなし~

哲仁王后の読み方はチョルインワンフ。第25代の朝鮮王・哲仁(チョルイン)のお妃のおくり名です。

主人公の名前はチャン・ボンファン(チェ・ジニョク)彼は14歳の史上最年少で料理を極め、今や、青瓦台(チョンアデ)と呼ばれる大統領官邸の最高シェフにまで登りつめた男です。

料理の腕はピカ一だが、自由気ままで女好き。怖いもの知らずで強気。

やりたい放題、好き放題生きてきた男です。

人生の春を謳歌しているとき、突如何者かに嵌められという大ハプニングに陥る。

いきなり、刑事責任まで問われてしまい、ここぞとばかり逃げる途中で高層階から落下・・・運よく下がプールだったことは本当にラッキーだったのだが、

消えゆく記憶では誰かが近づいてくるのだが・・どうも女性・・近づいたと思ったら唇を奪われる・・ラッキー?かアンラッキーか??

ハッと飛び起き目が覚めたら見慣れない景色が広がっていて・・なんとそこは、1850年の朝鮮時代だったというわけです。

よく見ると顔が違う。体が女性に。チャン・ボンファンの肉体がない!

その身体の主は明日に哲仁との婚姻を控えているキム・ソヨン。

「哲仁王后」と呼ばれる「王后」の肉体に閉じ込められてしまうのです。

チャン・ボンファンからしたらアンラッキーなあらすじです。

登場人物考察★ナ・イヌ&ユ・ヨンジェも飛躍!表現豊かな実力俳優達。

〇哲仁王后役 (シン・ヘソン)

あらすじではチャン・ボンファンが主人公なのですが、登場するのはシン・ヘソン演じる哲仁王后。舞台で言うと、出ずっぱり。毎回毎回、この哲仁王后に驚きます。動きやしぐさが男です。時折、かつてのソヨンだった時のシーンがありますが、落差がすごく、領家の娘のソヨンと、男チャン・ボンファンが乗り移った別人を完璧なまでに演じてくれます。ドラマの忠心の要です

〇哲宗役(キム・ジョンヒョン)

キム・ジョンヒョンといえば「愛の不時着」が復帰作で話題になりました。

時代劇の顔ぶれではなかったので、どんな哲宗かな?と私は半場期待と半場心配で観てましたが、私の予想をはるかに超えてよかったです。

何処がいいかと言うと、「秘めた情熱」を隠しもっているところでしょうか、

ゆったりとした口調、中身が男の哲仁王后を対比した感じのバランス。

実在する25代王の哲宗は、王としてさほど印象が強い方ではなかったので、

表向きは物静かを保ち、中に何かを隠しもっていたという人物設計によく合っていて、特に後半の演技は光ました。

〇チェ尚宮役(チャ・チョンファ)

チェ尚宮役のチャ・チョンファの「愛の不時着」に出演していますね。

「愛の不時着」ではヤン・オククム。「団地に住む住民」を演じて知名度を上げました。

やはり実力派でした!

私がドラマの中で一番笑ったのはチェ尚宮の数々でした。

主人公が可笑しいのは当たり前?(言い過ぎ)

かもしれないが、脇役がいいと、ドラマが楽しめる。その点、一番高得点をあげたいのはチェ尚宮なんです。

〇癒し系キャスト

ホン・ヨン役(チェ・ウソン)

キム・ソヨンが生家にいるころから使えている宮女。チェ尚宮と一緒に哲仁王后を支える役だが、心優しくて、ソヨンが大好き。哲仁王后が以前と人格が変わっても変わらぬ愛を注ぐ、観ていて心が和む。居てくれてありがとう♡

キム・ファン役(ユ・ヨンジェ)

たぶん・・いや絶対・・この時代にはいないキャラだと思う。

キム一族でソヨンの従弟で領家のおぼっちゃまそのまま。天然で泣き虫。可愛らしく憎めない。ドラマの中の「平和大使」的存在で、どうでもいいようだが、大事な潤滑油のような役まわりのキム・ファン(ユ・ヨンジェ)が大活躍で光ってました。

〇悪系キャスト

キム・ジャグン役(キム・テウ)

キム・ジャグンの無表情ぶりがドラマのおっかない部分でした。

(この人ドラマの中で一度も笑っていない)

キム・テウさんはよく、王の役をやっていますが、今回は、キム一族の参謀

大王大妃の弟のキム・ジャグンを演じましたが、この辺りが一番、時代劇らしく登場し展開します。

笑わない。笑えない。深刻シーンだらけなので、尚更、哲仁王后の奇想天外なシーンが楽しめます。

〇純元王后役(ぺ・ジョンオク)

朝廷の大御所。実権は全てこの方が握っている実在の人。

ドラマでは、おっかないばかりでなく、コミカルな場面も見せてくれました。

私は、チャン・ボンファンの哲仁王后が出す「現代の料理」を気味悪いといいながら、

おいしく食べる姿が可愛く見えまして♡料理シーンは本当に楽しませてもらいました。

料理を食べるシーンがなければただの嫌~な強欲おばさんだったでしょう・・

〇キム・ビョンイン役(ナ・イヌ)

キム・ジャグンの養子。キム一族の若きホープでソヨンを愛し守る男

ナ・イヌのキム・ジャグンを「悪役系」に入れるか、特別「イケメン系」枠を作るか迷うところ。最後まで見るといいです。俳優としてやってみたい役かもしれない。物語では欠かせない注目したい人物です。

以上が私が感じたドラマの引き立て役たちでした。

当時の政権を少しお話しすると、

 

【哲仁王后 俺がクイーン!?】感想★実在&創作MIXでは?

当時の政権を少しお話しすると、

朝鮮王朝末期は、王権が弱まり、王より王妃の実家、外戚が力をふるっていました。

24代王の憲宗(ホンジョン)后は豊穣趙(プンヤンチョウ氏)

政権は豊穣趙氏と安東キム(アンドンキム氏)の争いでした。

所が、憲宗が後継ぎのないまま23歳の若さで病死。権力争いのためにはいち早く新しい王を立てないといけなかったのですが、

王族の中でちょっと目だったり、学問があったりする人は狙われて、粛正されてしまう世の中。めぼしい人材がいなかったのです。

先手を打ったのは安東キム氏側です。

江華島(カンファド)で農民同然の暮らしをしている青年に目を付けたのです。

それが、哲宗。朝鮮王朝第25代の王です(1831-1863)在位:1849-1863

血筋は、イ・サンで有名は正祖の弟、恩彦君(ウノングン)の孫。

元範(ウォンボン)です。

哲宗(元範)は安東キム氏一族の操り人形として、王になったのです。

私が哲宗にあまり関心が高くなかったのはこれといって、業績もなく、

「何もできなかった王」だと記憶しているからです。時勢が短い事もあって、

27人の王の中でも存在感が薄く、有名なのはあだ名。

「江華島トリョン」(江華島のおぼっちゃま)と呼ばれていたことくらいだからです。

あの哲宗を??イキイキと蘇るとは!製作の凄さに感動しました。

歴史の影に隠れていた王を陽の当たる場所に連れていったと見ました。

 

作品考察★「哲仁王后」がヒットした理由は?

①題材か?

でも何故、哲仁王后と哲宗を選んだのだろうと考えてみた結果

目立った存在じゃないから。何故王になったか、経緯はわかっても、何をやったか?という王の人物像がはっきりしない=創作しやすかった。

だと思います。過去の作品やイメージがまったくないのでその点ではやりやすい題材だったのだろうと考えます。

私は作品を最後まで見た後、確かに面白いけど、内容がさほど、残らなかった。

「楽しい」「面白い」で他に何か残るかな?と思った時、シン・ヘソンやチャ・チョンファの演技が良くて、演技のインパクトこそあって、内容は頭に残らなかった。

だから、ドラマのメッセージが伝わりにくかった。

②作品メッセージは?

そこで、もう一度見返し、気づいたことは、見る側に笑ってもらいたい、楽しむためのものなのだと気付いた。

もう一つは、当時の息苦しい、自由のない王朝時代を一笑するころで、閉鎖社会への逆襲的な意味があると思った。

哲仁王后の肉体に入るチャン・ボンファンは「自由気ままで好き勝手」に生きていた象徴的存在。

チェ尚宮の存在もそうです。仕来りを守るのが全てで、自由な発言も恋もご法度なのが尚宮です。

印象に残っているのは「笑いを忘れてもう長いのです」という言葉でした。

鬱せつを吹き飛ばす。

それを爽やかに、ユーモアに笑って乗り切るメッセージ力がありました。

③コロナ時代とも一致。

脚本家や企画が全て想定していかはわかりませんが、

作品が作られたのも公開されたのも、コロナ禍でした。

作る側は大変な苦労だったと思います。

(それだけでも役者さんをはじめスタッフに頭が下がります)

でもコロナ禍での限定された生活、先の見えない不安、ストレス・・などみんな感じていたはず。

吹き飛ぶくらいの笑いが必要だった。

2回観たとき、私はふと、作家の井上ひさしさんの言葉が浮かんだ。

人はいつか死んでしまう。そういう人の悲しい運命を忘れさせ、運命に一瞬でも抵抗するのが笑いであり、笑いを作ることは、人間の出来る最大の仕事。

偶然か必然か、まるで時代が求めていたような作品だった。

という考察でした。

実在の哲仁と哲仁王后へのエピローグ

「哲仁王后俺がクイーン!?」の作品を、タイトルから敬遠、観なかった私ですが、

抵抗感があったエンディングソングも、内容がわかるにつれて、気にならなくなり、

1作ごとに親しみが湧いてきました。

私の良くやりがちな「食べず嫌い」は良くないと学び・・・

私は、最終話(20話)まで、(しかも2回)見ないとなんとも評価しにくかった。

最後までみて分かれた評価があって、その一つが、20話。やっと、哲宗(キム・ジョンヒョン)がかっこいいと思いました。セリフがとても。

私のもう一つの心の感想はこうです。

「ドラマの哲宗」を観たら、本物の哲宗はどういうかな?と、特に最終話なんか、

「自分はこんな王になりたかったのだ!」と思ったかもしれないなと。

あの世で喜んでいるのかもしれない。

満面の笑顔で。哲仁王后と?

そんな感想を持ちました♡

 

 

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