韓国時代劇『哲仁王后』が大ヒットした理由のひとつは、主人公を支えながら存在感を放った名脇役・チェ尚宮(チャ・チョンファ)の存在にあります。笑いと涙、そして胸に染みる感動を誘うその演技に魅了された人も多いはずです。この記事では、チェ尚宮という表情と声が個性的なキャラクターの魅力を深掘りします。
【哲仁王后】チェ尚宮は主人公を支える味噌汁の「出汁」的存在!その中身は?
2021年の韓国ドラマで視聴率17.4%という高得点な「哲仁王后 俺がクイーン!?」でした。主人公は哲仁王后(シン・ヘソン)と哲宗(キム・ジョンヒョン)物語を中心の二人を最大の引き立て役はといえば?? チェ尚宮(チャチョンファ)!です。お味噌汁で例えると・・「具」が哲仁王后のシンヘソン、哲宗のキム・ジョンヒョン。そのベースの味を支える「出汁」と私は表現します。そもそも「チェ尚宮」とはなんでしょうか、読み方は「チェサングン」と読みます。ここでは統一して「チェ尚宮」と書きことにします。
【哲仁王后】の大筋内容とチェ尚宮役どころとは?
正直に告白すると、私はずっと「哲仁王后~俺がクイーン!?」というタイトルからして、興味を持ちませんでした。
「体に憑依する」ことはわかっていて、コミカルなんだろうな~とか、私自身オーソドックスな時代劇に慣れ親しんでいたのもあって、「ふ~ん」なんて。横目で見ていたのですが、「まあ一回観てみよっか、」と、やっと腰を上げたのです。
所が・・先入観を見事に覆してくれたのです。
役柄でみていくと、理由は2つ。
1つは、哲仁王后・シン・ヘソンの「男ぶり」
チャン・ボンファン(チェ・ジニョク)という大統領府の腕利き料理人が、高所から落下し、気づいたら19世紀の朝鮮王朝の王后の体の入ってしまった・・というシチュエーション。
顔は哲仁王后(シン・ヘソン)。声はチャン・ボンファン(チェ・ジニョク)なので、最初は二人存在している感があるのですが、ドラマみを観るにつれ、だんだんと、哲仁王后(シン・ヘソン)が男に見えてくるのです。大胆な仕草が見事で、足を開いたり、鼻を・・あと目つきなんか、とっても男。
2つ目が、ひと際、目を引いたチェ尚宮(チャ・チョンファ)です!
主役でないチェ尚宮のあまりの面白さと演技の上手さに、息が止まるほどの感動を覚えました。
では「尚宮」を少し話します
チェ尚宮(チェサングン)とは??
哲仁王后に使える女官。チェが氏で、「尚宮」(サングンと呼びます)が女官の意味ですが、簡単になれるものではないのです。それを知っていると物語が楽しく見えてきますので少し触れます。
【哲仁王后】チェ尚宮「宮中事情」とコミカルな尚宮のギャップ描写
韓国時代劇に出てくる「尚宮」(サングン)は宮中でのお勤めが長い、ベテラン女官を言います。12~13歳ころから宮殿で働き、約20~25年以上修練してやっと上級女官である「尚宮」(サングン)に昇格するのですから、とても気の長い話し。
宮中で働く女性たちは、王の女性であるため、自由に外に出入りできないばかりか、自由な恋もできないのです。
時代にも寄り切りですが、多いときは600人もの女官がいたことを考えると、王の目に留まり寵愛を受けるのは???ほんの僅かの1%~2%でしょう。
彼女たちは王宮の中で、ひたすら、「見ざる・言わざる・聞かざる」という宮中の厳しい規制の元に毎日生活します。
上(王や王族)の世話しながら、下(年下の女官のめんどうや教育も担当し、自分のことに関心を持つことも許されない生活です。
現代でいうと上と下に挟まれる「中間管理職」です。
しかも、自分の家や家庭も持たず、奉公先での中間管理職というとわかりやすいかもしれません。
その尚宮の役割と、彼女たちの「心の声」や「フラストレーション」をリアルにそしてなんたって、コミカルに表現してくれてのがチェ尚宮でした。
哲仁王后(シン・ヘソン)がまったくいうことも聞いてくれないし、王妃としてあるまじき行動ばかりするのを見かねて、竹藪の中で、大声を張りさせるシーン。男性絵巻の万華鏡を覗くシーン等、、
それらのフラストレーションを悲壮感ゼロ・おもしろく・可笑しく・魅せました。それが視聴者に共感と親近感を与え、ドラマ全体を底上げしたのです。
【哲仁王后】チェ尚宮の 表情”と”独特な発声”が魅力的
韓国での反応も同じくで、視聴者からのメッセージが殺到。
「チェ尚宮の発声が素晴らしい!」
「パンソリの方ですか?」
「チェ尚宮の顔がでてくるだけで思わす笑ってしまう」
「チェ尚宮はほんとに極めの境地」
「表情のひとつひとつが圧巻」
「チェ尚宮本当に黄金キャスト!」等
視聴者の声では1つ目は「表情」2つ目は「発声」を多く挙げています。
チェ尚宮の「マンネン小言」と「澄んだ声」
竹藪で叫ぶ
哲仁王后が言うことを聞かない姿にキレて、竹藪で叫ぶシーンです。
しおらしい王后でなければいけないのに中身はなんたって「男」です。
蟹股、チョゴリの裾は上げる、脚は広げる、しまいにおしりを振って踊る・・
チェ尚宮は理解不能。
「なりません!王后さま、なりません、なりません~1から10迄、なり・・なり・・なりません~ま~ま~(目上の方への言葉)」
このセリフは物語の間中飛びかう、チェ尚宮の名台詞です。
かたや哲仁王后を想い
「小言ばかりいうと、王后も可愛そう。記憶を失っているのだから。でも口にしないと私の胸が苦しくなる。。これをどうしたらいいのでしょう。。」と優しい彼女は、ストレスの吐けを探し竹藪の中で叫び続けます。
(本当は記憶を失っているのでなく、王后が「男」でおかしいだけなのに、です。)
「なりません!なりません~~~」といい、パンソリの声になります。
※パンソリとは~朝鮮文化に伝わる伝統歌声です。声の出し方にも特徴があって、子供のころから師匠の元で訓練し一人前になる伝統芸です。
この声はまで一曲歌を歌うように聞こえますが、、最後はむせます。
チェ尚宮の「千の表情」
男性絵巻の万華鏡を覗くシーン
男性との恋も許されない宮中で、外出で偶然手にした万華鏡に興奮するチェ尚宮。
中を見て、驚いた顔がとっても可笑しい、またそんな自分を恥じるチェ尚宮だが、何故か?万華鏡を後生大事にし、人目を忍んで覗くシーンは見ていて笑いを誘います。
【哲仁王后】チェ尚宮・名脇役が主人公を輝かせる理由とは?
〇「哲仁王后」のストーリーの中身になります
王后の身体に現代の料理人チャン・ボンファンが憑依したことは哲仁王后しか知らない。そのため、尚宮や宮女ホンヨンも、その奇怪な行動を真剣に受け止めているのが可笑しい。
ドラマ全体の面白さとなって、尚更、哲仁王后の「変人」ぶりを引き立てることになっている。
〇脇役である立ち位置を守っていて、出ずぎた真似をしていない。
「哲仁王后 俺がクイーン!?」 主役の王后(シン・ヘソン)を立たせています。
結果、チェ尚宮が魅力的に見え、映えるのです。
韓国映画・ドラマは脇役が凄いと言われてます。本当にその通りですね。
チェ尚宮が更に照明してくれました。
今回、地元韓国での「哲仁王后 俺がクイーン!?」の感想を読んでいると
「チェ尚宮がポイント高い。すごく楽しかった」
「チェ尚宮でなかったら無理だった」
中には「他はなくもいい。チェ尚宮が一番笑える」
と意見した人がいるくらい、チェ尚宮のインパクトは大きくドラマの良し、悪しを左右したのでした。
チェ尚宮の魅力は笑いだけでない
ドラマの笑いの糸を繋いだ名脇役でしたが、セリフも心に残りました、
「宮中で生活し、かれこれ笑うことを忘れ、長い歳月がたちます」
また、「頭が変になった?」哲仁王后が、夢から覚めようと、あばれまくり手に負えない様子をを見たとき、
「もう私の役割もここが限界だ」と
どちらも哀しそうな表情をします。
そのあと、また笑えるシーンに変わるためそれほど余韻は残しませんが、尚宮
の表情には宮中で生活するの立場と役割、悲しみを見事に表して、聞いてて胸が痛くなりました。
チェ尚宮の立ち位置がよく見れます。
ただ、笑っておかしいだけでない、宮中女の本音を魅せるドラマとして素敵でした。
21世紀の男性が過去の朝鮮王朝にタイムスリップするのは物語ですが、
チェ尚宮というキャラクターがいたことで、宮中物語を過去の過ぎた絵空事の話しで見るのではなく、リアルな、等身大として、共感したのです。
チェ尚宮を演じた俳優チャ・チョンファについて、詳しくはこちらをご覧ください(^-^)
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